甘党さん その4
前回の続きですが、無愛想な店員が私たちのテーブルに人数分だけ切り分けたチョコレートケーキをばたばたと運んできました。
濃厚で巨大なそのケーキには側面にフォークがブスリと差し込まれています。
ご飯にお箸を立てるのはお葬式の時だけ・・・と子供の頃よく注意されたことを思い出し、何だか悪趣味、と私は感じていたがそれがこの店の独特のやり方なのであった。
参加者はそれぞれ自分のフォークを引き抜き、甘さと苦さの絶妙な調和感を舌の上で確かめながら一口一口じっくりと味わってケーキを食べる。
それはまるで何かの秘密結社の集まりでのおごそかな儀式のような気配なのでした。
結局、私たちの計画はその稚拙さとタイミングの悪さにより頓挫し、参加者たちはそれぞれに自分のまっとうな仕事へと戻っていきました。
もとよりリーダー格だった友人がおとなしく結婚して野心も何もかも捨ててしまったのだから、この会がいわば自然消滅してしまったのも当然といえば当然です。